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日本語日本文学専攻(修士課程)

専攻の構成と特徴
本専攻は、【日本語学】【日本文学】【日本語教育学】の3分野からなり、日本の言語と文学についての高度な研究を目的とする。
日本の言語・文学それ自体をよりよく知るためにも、また、そもそも言語や文学とは何であるかを考えるためにも、日本の言語・文学が、世界の言語・文学の一つであることを自覚し、時にはそれらとの関連において研究対象を相対化して捉えることが必要である。本専攻では、専門分野に偏らない受講を推進し、また、さまざまな分野で活躍する研究者をゲストスピーカーとして招聘するなど、専門性を深めつつ幅広い知識を獲得することに配慮した授業、カリキュラムを提供している。
教職志望者・社会人入学者・外国人留学生にむけて
近年、教職志望者に修士課程修了以上の高い資質が求められている。こうした社会的要請は今後さらに高まることが予想される。中学校・高等学校の国語教員を志望する人には、本専攻において専門分野の知識をさらに深め、視野を広げるとともに、教師としての職責を果たしていく上で支えとなる、高度な研究能力を身につけることを勧めたい。
本専攻ではまた、入学制度に「社会人特別選抜」「外国人特別選抜」を設け、社会人や外国人留学生が受験しやすい環境を整えている。
学生の研究活動に対する支援
本専攻では、修士論文作成に際し十分な成果が得られるよう、「論文演習」という授業科目を設け、定期的かつきめ細かな指導・助言を行っている。指導にあたっては複数指導体制を導入しており、多角的な視点から研究対象にアプローチできる。また、学生の日常の研究・学習活動を支援し活性化するために、大学院専用の研究室、参考図書、パソコン、複写機などを用意し、研究環境の整備に努めている。
修士論文のテーマと修了後の進路
過去の修士論文から例を挙げてみよう。日本語学分野では、「平安時代における「幼さ」を表す言葉について」、日本文学分野では「『源氏物語』における六条御息所の物の怪と噂―葵巻の生霊を中心に―」「明治初期における『ヴェニスの商人』の受容」「国語科における文学教材の『読み』を考える」、日本語教育学分野では「日本語教育における初級の動詞活用形の提出順について」「日本語教育の初級段階における『の』の指導」などの題目の下に修士論文が提出された。
修了後の進路について主な事例を挙げると、日本語教員、中学校・高等学校の教員、図書館司書、一般企業への就職等である。本学大学院の博士後期課程(人文学専攻)に進学してさらに研究を深める修了生もおり、学位(博士号)を取得し、教員として本学学生の指導に当たっている者もいる。

専任教員の研究領域

専門は中古文学で、源氏物語を中心とした物語文学を主な対象としています。とりわけ、婚姻をテーマに研究を行ってきました。作品の背景としての歴史的実態を押さえつつ、それをもとに物語の虚構性や各作品の魅力を浮かび上がらせることを目指していきます。

日本語教育学。談話レベルの文法研究や語彙の研究を行ってきました。現在の興味は、教育に貢献しうる言語研究とはどういうものかということです。具体的には、自治体のお知らせ・看護師国家試験・若者の雑談などを形態素解析して、文法や語彙を抽出しています。

専門は日本近現代文学で、明治・大正期が中心です。とくに森鴎外とその文学に関する研究を多く手がけてきました。大学院の授業では、物語論(ナラトロジー)、パロディ論、フェミニズムなど、今日の文学研究の前提となる諸理論を毎年とり上げています。
※「鴎」という漢字はJISコード外のため当て字を表示しています

日本近現代文学のうち、昭和前期の文学を考察の中心に置いてやってきました。作家研究よりも作品の読み方に主眼を置いたアプローチを大切にしたいと考えています。そして、授業では、読む、という作業をいかに語る、伝えるという行為に繋げていくか、を考えてもらいます。

古代日本語の文法システムが現代語とどのように異なるか、どのような過程を経て変化してきたかを明らかにしようとしています。資料を精密に読解し適切に利用すること、問題設定・論証・結論が整合的かつ合理的であることに留意して、研究および学生指導を行っています。

専門は現代日本語の語法・文法の研究です。身近な日本語の中の様々な言語現象に注目し、そこに見られる法則や類似する他の言語現象との異同を解明したいと考えています。

近世文学のうち、俳諧の研究をしています。特に、芭蕉前後から蕪村に至るまでの、江戸初期から中期にかけてが専門です。典拠や挿絵、句の配列など、さまざまな観点から作品の趣向を考えるとともに、作者の交友関係や実際の興行形態など、当時の俳諧の実態を明らかにしようとしています。

開講科目

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修士論文題目

年度(修了生)題目
2023(令和5)年度
  • 村上春樹『ノルウェイの森』論 ー登場人物についてー
2022(令和4)年度
  • 『蜻蛉日記』に見る道綱母の心情変化—兼家との関係を中心に—
  • 医療現場で使われる痛み表現 ―日本人と中国人の使用実態―
  • インドネシア人日本語学習者による条件表現の使用実態と意識
2021(令和3)年度
  • 上田秋成『春雨物語』における社会と人間について ――文化五年本「樊噲」と「二世の縁」を中心にして――
  • 安永・天明期における蕪村俳諧の趣向 ――「離俗論」を中心に――
2019(平成31)年度
  • 文学における食 ――岡本かの子『鮨』『家霊』、吉本ばなな『キッチン』を通して――
2018(平成30)年度
  • 押川春浪 「海底軍艦シリーズ」論
2015(平成27)年度
  • 『源氏物語』における六条御息所の物の怪と噂 ──葵巻の生霊を中心に──
2014(平成26)年度
  • 明治初期における『ヴェニスの商人』の受容
  • 『源氏物語』における浮舟の自己表現をめぐって ―音楽との関わりから―
2013(平成25)年度
  • 人間獣 ―芥川龍之介作品における<獣>表現をめぐって―
  • 萩原朔太郎の詩の音楽性について
2012(平成24)年度
  • 日本語教科書におけるソウダ
  • 為永春水の人情本論 ―『春色梅児誉美』における「いき」―
  • 『パノラマ島綺譚』に見る乱歩変貌
2011(平成23)年度
  • 『源氏物語』の「拒む」女・「巫女」性・「聖」性の系譜 -朝顔の姫君を中心に-
  • 「長き世のかため」・『源氏物語』政治家としての左大臣 -史実との対比から-
  • 三島由紀夫『仮面の告白』論 -「仮面」に示される多様な自己-
  • 韓国人日本語学習者にとっての「-テイル」 -韓国の大学で日本語を主専攻とする韓国人学生が使用する教科書を中心に-
2010(平成22)年度
  • 歌舞伎と“文化輸出” -演目の変遷からたどる歌舞伎海外公演の意義-
  • 日本語教育における初級の動詞活用形の提出順について -「辞書形」と「テ形」を中心に-
  • 連濁に関する一考 -『言海』『岩波国語辞典』を参考にして-
2009(平成21)年度
  • 『一谷嫩軍記』における身代わり
  • 日本語におけるダッシュとリーダーの研究
2008(平成20)年度
  • 平安時代における「幼さ」を表す言葉について
  • 村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』論 -〈世界の始まり〉に向けて-
2007(平成19)年度
  • 安部公房『砂の女』『燃えつきた地図』『密会』における失踪者たち -彼らの足跡とその後-
  • 堀辰雄の描いた「愛する女」 -『かげろふの日記』『菜穂子』『曠野』を中心に-
  • 日本語教育の初級段階における「てもらう」文について -中国人学習者の立場から-
  • 『源氏物語』の「きよら」 -『竹取物語』の系譜と聖性-
  • 国語教科書における文学教材 -定番教材を中心に-