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学習科学に基づく授業研究モデル開発
(文部科学省委託事業「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」)

令和5年度、現代教養学部教育学科の益川弘如教授を代表者とした実施テーマ「学習科学に基づく授業研究モデル開発」が、文部科学省による「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」(※)に採択されました。これは、教員研修の合理化・効率化に資する研修高度化に向けた取り組みを推進するための事業です。1次公募では計28の大学・教育委員会が選ばれ、私立大学では本学が唯一採択されました。今後、私立大学が公教育に十分貢献できる可能性を示すモデルともしていく予定です。

  • 文部科学省の「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」は、4つのテーマに関して教育委員会と大学等の協働によりモデルを開発し、成果を広く普及することで、全国的な研修観の転換・定着を図るものです。本学の実施テーマ「教員研修の高度化に資するモデル開発事業」は、テーマ2「教員研修や授業研究等の高度化に関すること」として採択されました。

1. 趣旨・目的

教員研修の高度化には、学習科学をベースに「主体的・対話的で深い学び」を引き起こす授業を実践し、児童生徒の学習過程についてリフレクションする持続的で協働的な授業研究が必須です。

「学習科学に基づく授業研究モデル開発事業」では、教育環境デザイン研究所(CoREF)と連携し、全国30の大学・自治体・団体からなる協調学習(collaborative learning)の授業研究コミュニティ(「新しい学びプロジェクト」)を基盤に、「中核的集合研修モデル」「校内研修融合モデル」「新参者モデル」の3つの研修モデルを開発・効果検証します。

本事業では、これら3種類のモデルの開発・効果検証を行うだけではなく、そのモデルを展開するための前提条件やそこに掛かる負担や費用等を明らかにすることによって、他自治体・教育委員会が協調学習以外のテーマにおいても自律的に研修体系を高度化させていく基礎資料を提供することをねらっています。

2. 実施概要

(1)事業全体の実施概要

本事業の基盤となる「新しい学びプロジェクト」には、令和5年7月現在、全国21都道府県31団体(教育委員会、学校等)から1224名の教員が参加しています。
プロジェクトの概要についてはこちら

本事業では、このプロジェクトをフィールドとして、以下の3つの教員研修モデルを関連させながら、学習科学の理論と実践を架橋します。それによって、主体的・対話的で深い学びの質を支える授業研究の自走を支援するとともに、ICTの力も活用して、そうした授業研究に教員養成課程の学生が周辺参加することで学ぶ教育プログラムを開発します。

本事業の成果は、「協調学習授業研究ハンドブック」としてとりまとめ、本ホームページでも公開する予定です。

①中核的集合研修モデル 「新しい学びプロジェクト」参加教員(管理職やベテラン教員、経験の浅い教員を幅広く含む)及び教育行政関係者が、協調学習の理論や授業法、授業研究の視点や進め方、先端技術の活用法を学び、各自の授業デザインや実践結果を共有吟味し、校内研修と接続する在り方も学ぶ集合研修をモデル化します。
②校内研修融合モデル 「新しい学びプロジェクト」参加教員が校内研修としての授業研究を、それぞれの学校の実態や課題、年間計画に即した形で自律的に行う際に参考となるモデルです。具体的には、コミュニティのリソースや他学校教員との授業づくりネットワークを活用し、授業研究を働き方改革の下で効果的・効率的に進めるためのモデルとなります。
③新参者モデル 「新しい学びプロジェクト」における授業研究のモデルやリソースを活用し、初任者研修等の法定研修において授業研究のPDCAサイクルを回す力量を形成するための実践的なプログラムのモデルを示します。また、本モデルで転用可能な講義動画や教材を、ペーパーティーチャーや教職課程学部生用にパッケージ化します。それにより、実践的な教員研修が人材育成初期段階の優良なリソースとなることも示します。そのために、周辺的な参加者に提供可能なリソースを扱うべく、既存の授業研究システムを機能強化します。

(2)本学の教育プログラムに関わる実施概要

教職免許取得に必要な科目である本学「教育方法(含ICT活用)」を受講する40名前後の学生を対象に講義の一環として、本事業で取得した授業研究データ(個人情報保護のための適切な手続きを行ったもの)を活用して、「授業研究基礎講義」「オンデマンド型授業研究」「単元マップを活用したロングスパン授業研究」という計3つのプログラムを開発・実施します。

これらのプログラムでは、(1)児童生徒の学習過程についての具体的な事実を取り上げ、その事実を授業デザインや支援の機能と結び付けて論じることができること、(2)過去に同じ授業についてなされた事後協議の記録や授業者自身の振返りシート(リフレクションシート)を参照し、自らの学びの事実の捉えや解釈との異同を長短スパンで理解できることを目標とします。また、こうした授業研究の経験を通じた教員志望度の変化とその理由について検証します。

また、本事業で開発した学部生・院生向けのコンテンツ(講義動画等)については、本ホームページに掲載し、大学の教員養成課程強化策の一つとして位置づける予定です。

3. 実施体制

  • 機関・所属部署・職名は令和5年7月現在のものです。
機関・所属部署・職名 氏名 役割分担
聖心女子大学・現代教養学部・教授 益川 弘如 事業実施責任者
埼玉県・教育長 日吉 亨 共同提案者・取組③実施責任者(「新しい学びプロジェクト」代表)
広島県安芸太田町・教育長 二見 吉康 共同提案者・取組②実施責任者(「新しい学びプロジェクト」副代表)
福岡県飯塚市・教育長 武井 政一 共同提案者・取組②実施共同責任者(「新しい学びプロジェクト」副代表)
国立教育政策研究所・初等中等教育研究部・副部長 白水 始 共同提案者・取組①実施責任者(「新しい学びプロジェクト」副代表)
聖心女子大学・現代教養学部・客員准教授 飯窪 真也 事業実施取り纏め
聖心女子大学・企画部・部長 小池 良高 事業経費管理

4. 本事業の制作物

(1)事業で用いた講義動画

協調学習の授業づくりについて短時間で学ぶための動画です。ご自身での閲覧や校内研修、自治体での研修にお使いください。この動画を許可なく転載することは禁じます。

0. 教職を目指す大学生のみなさんへ~過去の授業経験を超えて~(4分38秒)

1. 学習指導要領から見たこれからの学びのゴール(10分56秒)

2. 学習科学に基づく協調学習の原理(12分53秒)

3. 「知識構成型ジグソー法」の授業づくり①(10分17秒)

4. 「知識構成型ジグソー法」の授業づくり②(13分)

5. 主体的・対話的で深い学びの視点にたった授業づくり~学びのシミュレーションによる事前検討①~(9分36秒)

6. 主体的・対話的で深い学びの視点にたった授業づくり~学びのシミュレーションによる事前検討②~(10分34秒)

7. 学びの過程に焦点化した授業研究~仮説検証型授業研究①~(10分26秒)

8. 学びの過程に焦点化した授業研究~仮説検証型授業研究②~(14分07秒)

(2)新しい学びプロジェクト年次報告会(兼 本事業成果報告会)

(3)協調学習 授業研究ハンドブック

(4)授業研究フォーラムサイト入り口

本事業で対象とした「新しい学びプロジェクト」参加教員は、こうしたページで学び合っています。ここでは「単元マップ」という学習指導要領の内容の構成に沿って全国学力・学習状況調査問題をレイアウトしたマップを紹介します(プロジェクトメンバーはこの問題の代わりに「知識構成型ジグソー法」授業教材とその作成に関わるディスカッションなどを閲覧できます)。

(5)本事業で学ぶ本学学部生の様子

(参考)

本事業の問い合わせ先

聖心女子大学 企画部企画課

TEL: 03-3407-5349(直通)  03-3407-5811(代表)
E-mail: kikakubu@u-sacred-heart.ac.jp