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こころの発達をとらえ、ときには支える研究を目指して

  • 心理学科

向井 隆代 教授

発達臨床心理学

研究のテーマ

児童期・思春期の発達と適応

研究テーマの内容、研究活動

高校生の時、物理や化学の法則性に惹かれ、薬学部に進学し、卒業研究は薬品物理化学という分野を選びました。直接目に見えない分子に何が起こっているのかを、その働きを観測してモデルを立てる手法に面白さを感じました。実は、人間の心も似ています。心は目には見えませんし直接測定することはできず、その働きによって何が起こっているのかを考えます。私はやがて人間の方が分子より面白くなり、大学院では心理学を専攻することにしました。心の発達のメカニズムを探求する発達心理学が主専攻ですが、特に困難を抱えるかもしれない発達を扱い、問題の早期発見や支援を目指す発達臨床心理学を専門にしています。
現在は、児童養護施設の子どもたちと職員の方々に協力をしてもらい、子どもたちの心理的、社会的な発達を追跡調査させていただいています。施設を訪問し、子どもたちが、仲間や大人との関係を築きながら成長していく様子を教えてもらい、特に身近にいる大人とのどのような関わりが、子どもたちの適応を支えていくのかを調べています。
また、イギリスで開発された、小学校中学年以上の子どもたちを対象に、周囲の大人との関係をインタビューで聞く面接法の日本語版の開発にも取り組んでいます。

面接法の指導の様子
子どもたちから多くの気づきを得ています

研究テーマの意義・面白さ

科学の研究では、仮説を立て、それを検証し、仮説通りの結果が出るときもそうでないときも、得られた結果の意味を考え、さらなる仮説や研究につなげていくことを繰り返していきます。立てた仮説や検証方法が適していなかったときには、それを認め、修正する謙虚さが何より大切だと思っています。
人間の発達については、おおまかな予測や部分的な説明ができることもありますが、まだまだ解明されていないことがたくさんあります。実際に子どもたちに会い、インタビューや行動観察をしてみると、個人差や変容など実に多くの発見があります。得られた知見を少しでも臨床や教育の現場に役立ててもらえることを目指しています。

高校生や学生へのメッセージ
発達心理学では、人間は、ときには問題を抱えながらも、亡くなる瞬間まで発達を続ける存在と考えます。発達は必ずしも直線的に進んでいくわけではなく、停滞しているように見えるときもあります。目に見える変化が現れていなくても、発達は続いています。「ブレない」強さもあるでしょうが、方向転換も含め無駄な経験は一つもありません。自らの興味関心を大切に、探求していきましょう。
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