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不思議現象とファン心理を科学する

  • 人間関係学科

小城 英子 教授

社会心理学、メディア研究

研究のテーマ

メディア・オーディエンスの研究、メディアの利用と満足

研究テーマの内容、研究活動

メディア・オーディエンスの個人差やメディアが介在する社会事象に関心があり、近年は、不思議現象信奉やファン心理をメインに研究しています。
70~80年代のテレビ全盛期はUFO・宇宙人や心霊現象などがブームでしたが、素人でも簡単に加工ができるようになった現代では画像や映像の説得力がなくなり、代わりに実在を確認できない、でも、絶対にいないと断定することもできない、目に見えないものが信奉の対象になっています。こうした不思議現象を信じる人はどんな人で、まったく信じない人はなぜ信じないのでしょうか。不思議現象そのものの真偽ではなく、信じる人、信じない人の複雑な態度構造を解明する面白さに魅せられています。
ファン心理研究は、対人魅力研究とメディア研究が融合したところに位置づけられますが、誰(何)を、なぜ好きになり、そこからどんな情緒的満足を得ているのでしょうか。ライトファンとコアファンの違いは?にわかファンを排除したくなる心理は?アイドルの社会的役割とは?熱狂的ファンとストーカーファンの違いは?対人魅力、流行理論、感情研究、メディア研究など、さまざまなアプローチがあり、社会心理学のあらゆる知を集結して追究してく面白さがあります。

「ファン心理の構造」

研究テーマの意義・面白さ

法律のような秩序とは別軸で、人々の心理によって社会が形作られているメカニズムが面白いと思っています。不思議現象信奉もファン心理も、「信じること、好きなもので救われる」一方で、「夢中になったら理性を失う」という共通項があり、生きがい・幸福感や社会の経済活動に貢献する一方で、詐欺被害やストーカー犯罪とも隣り合わせです。その光と影を分けているものは何でしょうか。それを解明することで、さまざまな社会問題の解決につながればと思っています。
また、指導を通じて学生から教えてもらうファン心理の最前線も興味深いです。映画→テレビ→SNSとメディアが変遷するにつれて、スターは手の届かない天空の人から、隣にいるような身近な存在となりましたが、それと連動してファン心理も変化してきました。切り口は身近なものでも、そこには社会の縮図が反映されていて、アカデミックに追究することで現代社会のありようが見えてきます。

高校生や学生へのメッセージ
大学卒業後はマスコミ系に就職したいという希望を持っていましたが、2年生のときにFestingerの認知的不協和理論(耐え難い現実に直面したとき、認知の方を変容させて不協和を解消する)に衝撃を受けたことで進路が大きく変わり、大学院に進学して社会心理学者の道を歩むことになりました。高校生のみなさんも、今はまだ自分が何者で何に興味を持っているのかがわからなくても、大学で人生を変えるほどの出会いがあるかもしれません。たくさんの可能性を見つけてください。
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