コード
HA65-01
授業科目
社会思想史Ⅰ
副題
副専攻
H1
特記事項
担当者
出雲 春明
単位
2
期・曜時
前期 金4
対象学年
1(B)・2・3・4年
学習目標
我々は産声を上げた瞬間から否応なく社会に取り込まれ、その中で成長して生活し、老いて死んでいく。社会思想は、このように我々にとって当然のものとして存在する社会について考える学問である。では、どのような場合に我々は社会について考えるよう促されるだろうか。そのきっかけとしては、自分と周囲の間に軋轢を感じたとき、社会の危機が深刻なものとして実感されたときなどが考えられるであろう。このように社会思想は、我々一人一人の営みにつながっている。本講義は、諸君らが社会における自分自身について洞察し直すきっかけとなることを目標とする。
授業概要
「諸君らは、上位者から明らかに不正な行動を要請された場合、それに対して異議を差し挟むことができるだろうか?」。これは有名なミルグラム実験の主題である。全体主義国家に服従した人々の心理を探求するために行われた半世紀前のこの実験は、今なお私たちにとって大きな意味を持っている。
例えば、「偽」、これは平成19年の我が国を象徴するものとして選ばれた言葉である。当時、企業ぐるみの食品偽装などが大きな問題になったのである。そして、平成23年3月11日に発生した震災はこの「偽」について私たちに多くの問いを投げかけることになった。多くの反省を経て、今、私たちには一人一人の責任ある態度、「公共」に配慮した行動が改めて求められるに至っている。では、その「公共」とは何だろうか。どのような行動が「公共性」に基づいたものと言われうるのであろうか。本講義では、3・11をめぐる状況を視野に入れた上で、この問題を考えていくことになる。その際、過去の歴史的事例や思想史上の先人達から多くの学びを得ていくことになるが、それを「対岸の火事」、「過去のもの」と見なすことなく、自分自身を映す鏡として認識することが重要であり、それがすべての思考の出発点である。本講義がそのきっかけになればと考えている。
テキスト
講義中に参考資料を配付する。
参考文献・課題図書
参考資料でその都度指示する。
受講生への要望
諸君らは、これまでの人生ですでに家族関係、友人関係など様々な経験を背負っているはずである。そうした経験をもとに、講義内容を単なる知識として覚えるのではなく、血肉をもった教養としてかみ砕く姿勢を求める。
評価方法
受講態度、出席状況、期末レポートから総合的に評価する。
授業計画
1.授業全体のガイダンス―社会思想という学問について
2.ポスト3・11の状況について考える
3.悪の凡庸性について(1)アレント『イェルサレムのアイヒマン』
4.悪の凡庸性について(2)「ミルグラム実験」が伝えるもの
5.公共性とは何か(1)「公」をめぐる議論
6.公共性とは何か(2)公共哲学の基本的文脈
7.古典的哲学が築いた基礎(1)プラトン『国家』など
8.古典的哲学が築いた基礎(2)アリストテレス『ニコマコス倫理学』など
9.古典的哲学が築いた基礎(3)コスモポリタンの思想
10.社会契約思想(1)ホッブズ、ロック、ルソー
11.社会契約思想(2)
12.資本主義時代の思想
13.近代政治思想(1)カント『永遠平和のために』
14.近代政治思想(2)ヘーゲル『法の哲学』
15.予備日および総括
自由記述欄
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