コード
GG60-01
授業科目
ドイツ事情(2)
副題
(戦後ドイツの〈想起の文化〉)
副専攻
G1
特記事項
担当者
安川 晴基
単位
2
期・曜時
後期 金4
対象学年
2・3・4年
学習目標
昨今、社会の集合的な次元で繰り広げられる想起と忘却のプロセスが、ますます注目を集めています。この講義では、〈集合的記憶〉についての主要な理論を知り、文化研究で〈記憶〉〈想起〉〈忘却〉というキーワードが用いられるとき、どのような事柄が問題となり、どのようなパースペクティヴが可能になるかを学びます。さらに、戦後のドイツが自国の負の歴史とどう対決してきたか、その諸相を知ることで、翻って、現在の日本と東アジアにおける歴史認識の問題に対する意識を深めます。
授業概要
戦争を直接知る者が誰一人いない、完全な「間接的証言」の時代の到来を目前に控え、20世紀の殺戮と破壊の記憶を、いかに後世につなぐか。21世紀に生きる私たちにとって、ますます重要な課題となっています。ナチズムとジェノサイドという負の遺産を抱えるドイツは、自国の歴史にどう向き合ってきたのでしょうか。この講義では、ナチズムとホロコーストをめぐる、戦後ドイツの共同想起の営み(想起の文化)の諸相を、諸々の論争、歴史政策、記念碑、ミュージアム、現代アートと連動した想起のプロジェクトなどの具体例に即して紹介します。
テキスト
授業中にプリントを配付します。
参考文献・課題図書
◆アライダ・アスマン『想起の空間』水声社、2007年
◆アライダ・アスマン『記憶のなかの歴史』松籟社、2011年
その他、適宜紹介します。
受講生への要望
評価方法
授業時のリアクションペーパー30%、期末レポート70%
授業計画
1.イントロダクション:1980年代末以降の記憶論的転回
2.集合的記憶論(1)M・アルヴァックス〈集合的記憶〉/P・ノラ〈記憶の場〉
3.集合的記憶論(2)アスマン夫妻〈文化的記憶〉
4.ナチズムの「第二の歴史」:東西ドイツにおける過去の継承の様式
5.「これは君たちの罪だ」――ドイツ人の罪責問題
6.〈時効論争〉:西ドイツにおける想起の〈社会的枠組み〉の変遷
7.戦後ドイツの〈想起の文化〉:1980年代西ドイツの歴史政策と〈歴史家論争〉
8.ベルリン共和国と「想起の公園」:再統一後の首都における記憶のリマッピング
9.カウンター・モニュメント(1)モニュメントを否定するモニュメント
10.カウンター・モニュメント(2)トラウマのイコンと〈否定的想起〉
11.ホロコースト記念碑と〈記念碑論争〉:記念碑というメディアの(不)可能性
12.ミュージアム論(1)ドイツ歴史博物館:新たなナショナル・ヒストリーの試み
13.ミュージアム論(2)ベルリン・ユダヤ博物館:「メモリー・ヴォイド」
14.ミュージアム論(3)〈テロのトポグラフィー〉:加害者たちの場所
15.まとめとふりかえり
自由記述欄
Copyrights 2013 University of the Sacred Heart , Tokyo all rights reserved.
■BACK
■検索システムへ
■TOPへ