コード DB66-01
授業科目 日本近現代史Ⅱ-2
副題 (戦前日本政党政治の展開と挫折)
副専攻 D1
特記事項
担当者 荒船 俊太郎
単位 2
期・曜時 後期 金3
対象学年 1(B)・2・3・4年

学習目標
 近年わが国では、自由民主党と民主党が交互に政権担当する国政運営を「二大政党政治」と呼称する傾向が強まっている。両党が政権をかけて争った、昨年末の衆議院総選挙は記憶に新しい。与野党逆転を伴う選挙結果がこの傾向を助長し、現代の政治状況は「戦前の政党内閣期と酷似している」と指摘されることもしばしばである。しかし、現代と戦前期では国家構造や政治状況が全く異なり、結果だけを比較して類似点を強調する安易な分析手法は慎まなければならない。
 本講義では、戦前日本における議会政治の歩みを辿り、国づくりにかけた政治家達の「意気込み」を汲み取ることを通じ、こうした努力の積み重ね上に戦後政治が築かれたことを再確認することを目標とする。歴史的な物の考え方に触れ、現代社会を主体的に考察する視点を培っていただきたい。
 
授業概要
 本講義は、戦前日本の統治構造を踏まえつつ、明治期から昭和戦前期にかけての議会政治を歴史的に辿る。政党勢力がいかにして実力を養い、国政の中枢に進出したのか、諸政治勢力が議会政治に何を期待し、議場の内外でいかなる相克が繰り広げられたかを複眼的に論じていく。
テキスト
 特に指定しない。毎回、プリント(関係資料を含む)を配布するが、以下の「参考文献」は講義終了までに是非1冊は読了して欲しい。
参考文献・課題図書
 粟屋憲太郎『昭和の政党』(岩波現代新書、2007年、初版1983年)
升味準之輔『日本政治史』全4巻(東京大学出版会、1988年、特に2~3巻)
筒井清忠『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書、2012年)
井上寿一『政友会と民政党』(中公新書、2012年)
受講生への要望
 意欲的な学生の参加を希望する。毎回リアクションペーパーを配布するので、疑問や質問を記入して提出していただく。特に重要な指摘については、次の講義時に紹介することがある。問題点を共有し、一緒に考えたい。
評価方法
 出席と試験によって評価する。
授業計画
1.オリエンテーション:政党政治の成り立ちを考えてみよう
2.自由民権運動の展開:自由党と改進党の組織と支持基盤
3.初期議会期の政党:藩閥との抗争と提携
4.隈板内閣から立憲政友会創立へ:「1900年体制」の成立
5.桂園時代の展開:長期「安定」政権の背景
6.第一次護憲運動:桂太郎と西園寺公望の失脚
7.立憲同志会の成立と第二次大隈内閣:二大政党政治への萌芽
8.原敬内閣の成立:「本格的」政党内閣の実力
9.第二次護憲運動:「中間内閣」の終焉と護憲三派内閣の成立
10.「憲政常道」の展開:二大政党政治の成立と展開
11.政党政治の崩壊:軍部の台頭と5・15事件
12.挙国一致内閣期の政党:政党内閣復活への模索
13.日中戦争期の議会政治:統制の強化と抵抗
14.政党の解散:大政翼賛会の成立と戦時下の政党人
15.日本近現代史Ⅱ-2:まとめとテスト
自由記述欄
 

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