コード CG24-01
授業科目 言語学概論Ⅱ
副題
副専攻 C1
特記事項
担当者 上野 善道
単位 2
期・曜時 後期 水4
対象学年 2・3・4年

学習目標
 言語について考え,その最も基本的な認識を得ることを目標とする
授業概要
 通常の「言語学概論」という形で「言語学」についての概念や方法を「知識」の形で伝えるのではなく,言語とは何なのか,どういう性質を持っているのかを,既存の知識に頼ることなく,できるだけ基本の部分から考え直してみたい。講師の側も新しい試みなので,毎回考えながら,受講生にも問い掛けて議論をしつつ話を進めていく。その材料はできるだけ日本語から取る。
テキスト
 斎藤純男『言語学入門』(三省堂)を用いる(各自用意のこと)。ただしこれを順番に全部読んでいくのではなく,批判も含めた話題の提供と,講義では触れなかった点の補充という位置づけで用いて行く。
参考文献・課題図書
 入門書の中では,より専門的なものとして,風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健『言語学』第2版(東京大学出版会,第7刷が最新)をあげておく。その他は必要に応じて補足する。
受講生への要望
 受講生にも問い掛けながら話を進めるので,積極的な発言を期待する。
 疑問・質問も歓迎する。ただし,すべて授業中にすること。授業中以外は認めない。
評価方法
 試験(70%),授業中の発言(15%),出席点(15%)
授業計画
1.導入。言語学概論Ⅰのまとめと確認。
2.語順について,世界の諸言語の類型から日本語を見る。
3.テンス・アスペクト。「2番線に電車が到着しております」の意味は?
4.意味とは何か。「薬を付ける」と「薬を飲む」と「薬を撒く」の「薬」の意味は?
5.文字について。漢字は本当に「表意文字」なのか。
6.共時論と通時論。「通時態」という用語が定着しているが,そもそも存在可能か。
7.言語はなぜ変化するのか。その歴史はどうやったら分かるのか。
8.言語史の根本をなす「比較方法」とは。
9.「音変化」とは何か。そもそも「変化」なのか?また,音法則,類推,借用。
10.日本語の音韻史。
11.日本語のアクセント史。
12.活用から見た文法の変化。意味の変化。
13.言語地理学の原理。それが明らかにする歴史と比較方法による歴史との関係。
14.社会言語学が明らかにする歴史の特徴。
15.まとめ
自由記述欄
 業概要に述べた形の講義のため,話題が展開し,受講生も興味を持ったものは次回も続けることもあるし,答えもはっきりしないまま途中で終えるものもあろう。また,翌週に前回の補足修正をすることもあるはずである。そのため,予定通りにはならないことが予想される。大学の講義とはそういうものであると考える。予め正解が決まっているわけでもないし,いわゆる定説でさえ疑がってかかる必要があるからである。

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