コード CG23-01
授業科目 言語学概論Ⅰ
副題
副専攻 C1
特記事項
担当者 上野 善道
単位 2
期・曜時 前期 水4
対象学年 2・3・4年

学習目標
 言語について考え,その最も基本的な認識を得ることを目標とする
授業概要
 通常の「言語学概論」という形で「言語学」についての概念や方法を「知識」の形で伝えるのではなく,言語とは何なのか,どういう性質を持っているのかを,既存の知識に頼ることなく,できるだけ基本の部分から考え直してみたい。講師の側も新しい試みなので,毎回考えながら,受講生にも問い掛けて議論をしつつ話を進めていく。その材料はできるだけ日本語から取る。
テキスト
 斎藤純男『言語学入門』(三省堂)を用いる(各自用意のこと)。ただしこれを順番に全部読んでいくのではなく,批判も含めた話題の提供と,講義では触れなかった点の補充という位置づけで用いて行く。
参考文献・課題図書
 入門書の中では,より専門的なものとして,風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健『言語学』第2版(東京大学出版会,第7刷が最新)をあげておく。その他は必要に応じて補足する。
受講生への要望
 受講生にも問い掛けながら話を進めるので,積極的な発言を期待する。
 疑問・質問も歓迎する。ただし,すべて授業中にすること。授業中以外は認めない。
評価方法
 試験(70%),授業中の発言(15%),出席点(15%)
授業計画
 言語全般と,音論および形態論を取り上げる。具体的には下記を主要な話題として予定している。関連する事柄にも随時触れる。
1.導入。この講義のねらいと進め方。言語について何をどう考えるか。
2.言語は存在場所はどこなのか。言語には内在的な名前があるのかなどを問う。
3.どの言語も,またどの方言も価値の差はないというが,そうなのか。
4.用語「標準語」は避けるべきとする風潮があるが,「共通語」と言うべきなのか。
5.「言語記号は恣意的」だと言うがそうなのか。どうしたらそれが証明できるのか。
6.言語は「線状的」であり絵画とは別と言うが,本当はどこが違っているのだろうか。
7.音声とは何なのか。耳だけで聞いているのか。なぜ母語はよく聞こえるのか。
8.さまざまな言語音声がいかにして出されるのかを,楽しみながら実践する。
9.日本語の「撥音(ん)」は5種類の音声をもつ,というような説があるが,どうか。
10.「ふんいき」を「ふいんき」と言うのは「音位転換」だとする説は本当か。
11.日本語のアクセント辞典に書かれているアクセントの捉え方は正しいだろうか。
12. 「形態素」は意味をもつ最小の言語単位と定義されるが,では,無意味形態素は?
13.タイヤキ,タコヤキ,イカヤキの複合語の意味は,形態素が分かれば分かるか。
14.複合語の「枝分かれ構造(階層構造)」はどこまで一義的に決められるか。
15.まとめ
自由記述欄
 授業概要に述べた形の講義のため,話題が展開し,受講生も興味を持ったものは次回も続けることもあるし,答えもはっきりしないまま途中で終えるものもあろう。また,翌週に前回の補足修正をすることもあるはずである。そのため,予定通りにはならないことが予想される。大学の講義とはそういうものであると考える。予め正解が決まっているわけでもないし,いわゆる定説でさえ疑がってかかる必要があるからである

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