コード CD57-01
授業科目 日本語学研究Ⅳ
副題 (個人的変異をめぐって)
副専攻 C1
特記事項
担当者 斉木 美知世
単位 2
期・曜時 後期 水3
対象学年 2・3・4年

学習目標
 同じ言語の母語話者の間でも、特定の表現形式が可能か不可能かで判断が分かれるという現象が存在します。このような現象をいくつか取り上げ、それらが提起する記述的・理論的諸問題について理解を深めるとともに、関連文献における問題設定の仕方や論述のスタイルを学ぶことを目標とします。
授業概要
 〈授業計画〉に記した諸現象について、適格性判断に見られる個人的変異の観点から論じた諸文献を取り上げ、(1)現象自体の解説、(2)個人的変異の考察、(3)文献の構成の吟味、という流れで講義を進めていきます。
テキスト
 ハンドアウトや資料などを随時配布します。
参考文献・課題図書
 Harada, Shin-Ichi (1971) Ga-No Conversion and Idiolectal Variations in Japanese.『言語研究』60.
 斉木美知世・鷲尾龍一 (2012)「ヴォイスの複合」『日中理論言語学の新展望3』くろしお出版.
 鷲尾龍一 (1997)「他動性とヴォイスの体系」『ヴォイスとアスペクト』研究社出版.
 鷲尾龍一 (2008)「概念化と統語表示の問題」『ヴォイスの対照研究』くろしお出版.
 渡辺明 (2005)『ミニマリストプログラム序説』大修館書店.
受講生への要望
 予備知識は前提としませんが、クラスで取り上げる言語現象に関心を向け、自身の判断に照らしながら講義を受けるようにしてください。また、日々の生活のなかで「面白い」と感じた言語現象をメモに取るようにしてください。できるだけクラスのなかで取り上げ、議論に足る問題にまでに高める訓練もしていきたいと思います。専門外の学生も歓迎します。
評価方法
 出席状況・授業への参加度・レポート内容を総合して判断します。詳細は第一回目の授業にて説明します。
授業計画
1.ガイダンス(授業概要、授業の進め方、一般的注意など)
2.与格受動① 導入
3. 〃  ② 規範文法からの逸脱 ―コナン・ドイルの受動文
4. 〃  ③ まとめ
5.自動詞受動① 導入
6. 〃   ② 《吹く》の概念化 ―漱石「薄い霜を渡る風がつらく肌を吹く…」(『門』)などを実例に
7. 〃   ③ まとめ
8.複合動詞① 導入
9. 〃  ② 文学作品に見られる個人語 ―三島由紀夫『金閣寺』、菊池寛『ある恋の話』など
10. 〃  ③ まとめ
11.「が/の交替」① 導入
12. 〃     ② 鮎川哲也『黒いトランク』をめぐって
13. 〃     ③ まとめ
14.ヴォイスの複合① 導入
15. 〃     ② 講義の結びに代えて ―矛盾する記述的伝統
自由記述欄
 

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