コード AT54-01
授業科目 ボランティア研究概論1
副題 (ボランティア活動の思想と実践)
副専攻 A3
特記事項
担当者 湯本 浩之
単位 2
期・曜時 前期 金3
対象学年 1(B)・2・3・4年

学習目標
 国内外におけるボランティア活動の思想や実践に学びながら、次の点について理解を深め、今後に向けた各自のボランティア研究の基礎を獲得することを目標とする。
 ①ボランティア活動を支える理念や思想、制度や組織について理解する。
 ②特に、日本のボランティア活動・団体の現状や課題などについて理解する。
 ③現代社会におけるボランティア活動の意義や役割について理解する。
 ④ボランティア活動の基盤となる「他者との関わり」や「隣人とのコミュニケーション」について体験的に理解する。
授業概要
 本授業では、ボランティアに関する基礎的な理解を図るために、その思想や理論をはじめ、歴史や現状、制度や組織などについて概説していく。具体的には、宗教や現代思想に見られるボランタリズムや19世紀の産業革命期にボランティア組織が誕生した背景や経緯などを確認する。また、日本では阪神淡路大震災が起きた1995年を「ボランティア元年」とする見方もあるが、戦前からそこに至るまでの日本の社会運動や市民運動の歴史や経験にも学ぶこととする。さらに、公益法人制度や特定非営利活動促進法(NPO法)をはじめ、ボランティアをテーマとする教育学習活動や、企業・行政によるボランティア支援の取り組みなどについても取り上げてみたい。
 こうした講義のほか、ワークショップを通じた参加・体験型学習をはじめ、ゲスト講師による活動紹介や現場報告なども可能な範囲で試みることとしたい。
 なお、この授業の履修に際しては、次の点を留意されたい。
 ①受講生の人数やワークショップの進捗状況によっては、授業計画の内容や順序を一部変更する場合がある。
 ②ゲスト講師としてNPO関係者等の授業への招聘を予定するが、先方の都合により、日程や回数には変更の可能性がある。
 ③履修に際して、ボランティア活動の経験の有無は問わない。
テキスト
 教科書は使用しないが、必要に応じて、レジュメや参考資料を配付するので、保存整理用のファイル等を各自用意すること。
参考文献・課題図書
 ボランティア論に関する概説的な参考図書として以下を紹介する。
 『ボランティアのすすめ』ミネルヴァ書房、2005年。
 『よくわかるNPO・ボランティア』ミネルヴァ書房、2005年。
 『ボランティア学を学ぶ人のために』世界思想社、1999年。
 『基礎から学ぶボランティアの理論と実践』中央法規出版、1997年。
受講生への要望
 この授業では、講義のほかに、グループワークやワークショップを活用して受講生相互の学びあいを重視する。授業で編成されるグループは、学年や専攻を異にする受講生数名で構成されるが、そこでの議論や協働作業への積極的かつ主体的な参加を受講生には強く要望する。
評価方法
 平常点(出席状況やコメントカードの内容)60%、および最終授業時に実施する記述式試験40%。
授業計画
1.オリエンテーションとグループワーク「私とボランティア活動」:各自の「ボランティア体験」を共有しながら、各自が形成してきた「ボランティア観」を確認・検証する。
2.ワークショップ1「される側から見たボランティア」:ある町で2人の外国人ボランティアを受け入れることになった。さて、町の関係者は2人を受け入れるのか否か・・!?
3.講義1「ボランティアの思想と原理」:宗教や現代思想を手がかりに、ボランティアを支える理念的思想や行動原理を検討する。
4.講義2「ボランティア活動の原点と歴史」:現在も活動する最古のボランティア組織の例として、赤十字、YMCA/YWCA、協同組合などの誕生にさかのぼり、当時の社会的背景や経緯を確認する。
5.ワークショップ2「ブラインド・ウォーク(目隠し散歩)」:「ハンディキャップを持つ」とはどういうことか。「手をさしのべる」とはどういうことなのか、体験的に学習する。
6.講話1「地域課題に向き合うボランティア活動(仮題)」:地域でボランティア活動に取り組むNGO/NPOの関係者を招き、活動紹介や現状報告をしていただく予定。
7.講義3「戦後の社会問題と社会運動・市民運動」:戦後の日本社会で展開されてきた平和・軍縮運動や環境保護運動、公害反対運動やベトナム反戦運動などについて概観する。
8.講義4「非政府・非営利の組織と運営」:公益法人制度や特定非営利活動促進法(NPO法)について概説するほか、日本の市民活動の現状や課題を概観する。
9.ワークショップ3「他者との対立は乗りこえられるか?」:同じ目的に向かって他者と協働する際に、なぜ誤解や対立が起こるのか?それを回避することは可能なのか、体験的に学習する。
10.講義5「ボランティアと企業」:企業によるボランティア活動や社会貢献活動の歴史や現状、今後の課題などについて検討する。
11.講義6「ボランティアと国際協力」:現代社会が直面する地球的課題について整理しながら、国際協力に取り組むNGOや公的ボランティア組織について解説する。
12.ワークショップ4「共生と排除の境界線はどこに?」:集団やコミュニティの中で、マイノリティが形成されるのはなぜか。「仲間意識」の功罪について体験的に検討する。
13.講義7「ボランティアと教育」:ボランティアを学習課題するボランティア教育やサービス・ラーニングなどについて概説する。
14.講話2「ボランティア支援組織の現状と課題(仮題)」:地域のボランティア活動を支援する中間組織または行政組織の関係者を招いて、活動紹介や現状報告をしていただく予定。
15.授業内試験(詳細については、近づいてから説明する。)
自由記述欄
 ボランティア活動の歴史は長く、その活動は多岐にわたるため、半期15回の授業だけで、そのすべてを解説したり、理解することはとても不可能です。この授業は、ボランティア研究を今後進めていく上での第一歩として、素材やヒントをいくつか提供できればと考えています。また、教室の中の机上の学習に終わることなく、夏休みなどにボランティア活動を実際に体験することで、自分の関心やテーマをさらに深めていくことを期待します。

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