観念が先走り、対象そのものを描いていない、とD. H. LawrenceはVirginia Woolfに批判されたが、自然表象に焦点をしぼって検討すると二作家には通底する要素が多く見出せる。Woolfとの対比性を念頭に置きつつ、Lawrence の自然表象について考察を進めることで今日的な文学研究の課題を考察する。
授業概要
D. H. LawrenceのWomen in Loveを精読し、小動物、馬や牛、月などが登場人物といかに有機的な相関性を持っているかを分析する。同時に人間の心理のダイナミクスを表象するための手法として自然表象がいかに機能しているか、その具体的様相について考察したい。
テキスト
D. H. Lawrence, Women in Love: Cambridge Lawrence Edition, Penguin Classics, 2007.