コード
CC42-01
系列
系列:日本文学
授業科目
近代文学演習Ⅱ
副題
(葛西善蔵の「自己小説」を読む)
副専攻
C1
担当者
伊藤 博
単位
4
期・曜時
通年 金4
対象学年
2・3・4年
特記事項
学習目標
従来、「私小説」は日本独自の小説の形式と考えられてきました。しかし、近年、中国や韓国において、「私小説」形式の小説が登場し、もはや「私小説」が日本独自の小説の形式とはいえなくなりました。この演習では「私小説」のアジア的展開を視野に入れながら、大正期を代表する私小説作家、葛西善蔵の文学テクストを分析・検討することを通じて、「私小説」の特徴・意義・問題点等を解明することになります。と同時に、「私小説」を相対化する視点を確立することを目指します。
授業概要
前期と後期の初回の授業では「私小説」に関する概論的、理論的講義を行います。演習では受講生は担当する小説について、各自作成したレジュメにそって発表し、他の受講生との討論によって文学的認識を深めていくことになります。発表は葛西の文学テクストの単なる要約や解説ではなく、歴史的・社会的背景を視野に入れながら、小説の構造を把握し、様々な視点から分析・検討を加え、読みの可能性を追究することが課題になります。
原則、二人一組で一つの小説について二回連続の発表を予定しています。しかし、問題点が充分に解明されない場合は、発表が三回に及ぶ場合もあります。演習の参加者全員による活発な議論を経て、各自の文学的見識が深まっていく授業にしたいと考えています。
テキスト
『哀しき父 椎の若葉』(葛西善蔵、講談社文芸文庫)を基本とします。演習で取り上げるすべての小説が上記の文庫本に収められていないので、その場合は『葛西善蔵全集』(津軽書房版、あるいは、文泉堂版)のコピーを用意してもらうことになります。
参考文献・課題図書
講義の進行に従って、適宜指示します。
受講生への要望
単に出席するだけではなく、討論に積極的に参加する必要があります。他の学生にも分かりやすい発表を行うための熱意と努力と工夫が求められます。
なお、この科目の受講希望者は事前に研究室で所定の手続きを済ませ、前期初回の授業に必ず出席して下さい。
評価方法
出席状況、発表内容、発言内容、演習に取り組む姿勢によって総合的に判断します。
授業計画
1.前期担当者の発表順の決定
2.私小説について(Ⅰ)
3.「哀しき父」(1)
4.「哀しき父」(2)
5.「子をつれて」(1)
6.「子をつれて」(2)
7.「不良児」(1)
8.「不良児」(2)
9.「贋物」(1)
10.「贋物」(2)
11.「馬糞石」(1)
12.「馬糞石」(2)
13.「悪魔」(1)
14.「悪魔」(2)
15.発表予備
16.後期担当者の発表順の決定
17.私小説について(Ⅱ)
18.「不能者」(1)
19.「不能者」(2)
20.「椎の若葉」(1)
21.「椎の若葉」(2)
22.「弱者」(1)
23.「弱者」(2)
24.「酔狂者の独白」(1)
25.「酔狂者の独白」(2)
26.「池の女」(1)
27.「池の女」(2)
28.「メケ鳥」(1)
29.「メケ鳥」(2)
30.発表予備
自由記述欄
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