コード
TD12-01
系列
史学専攻(修士課程)
授業科目
東洋古代史特講
副題
(墓誌銘を通して見た唐代史)
副専攻
担当者
愛宕 元
単位
4
期・曜時
通年 水5
対象学年
学部3・4年生も可
特記事項
学習目標
これまでの歴史研究の基本である文献史料に加えて、近年に知られるようになった一次史料である唐代墓誌銘約6500点を総合的に検討する。墓誌銘の定型的な文体を習得し、その史料としての性格を的確に把握することによって、唐代史だけでなく中国史全体に対する新たな研究の範囲を広げることが可能となるであろう。
授業概要
唐代墓誌銘は確かに同時代に記録された第一次の文字史料であるが、後世に編纂された文献史料よりも常に史料的価値が高いとは言えない。また個々の墓誌銘それ自体はきわめて矮小な個人的情報に過ぎず、墓誌銘を利用する場合には総合的な活用法が必要であることなどを、具体的事例を基に講義する。
テキスト
唐代墓誌銘の拓本写真や録文、関連史料を毎回配布する。
参考文献・課題図書
受講生への要望
墓誌銘独特の文体に習熟すること。四六文や対句を多用する文体であるので、意味内容の理解にはやや時間を要するが、読みそれ自体は比較的容易である。
評価方法
前期末、後期末に課すレポートにより評価する。
授業計画
1.唐代墓誌銘6500点の概要、唐誌具体例の紹介。
2.墓誌制作のマニュアル(文例)に機械的に依拠した墓誌2例。
3.同上3例。
4.史料的価値の皆無の女性墓誌2例。
5.同上2例、女性の美徳を讃える常套的な典拠。
6.同上3例、『詩経』『礼記』『後漢書』などを引用。
7.同上2例、同族女性の奇妙に類似する事例。
8.墓誌から見た唐代後宮女性(宮人)の実態。
9.1982年新出の宮人墓誌2例。
10.二品宮人墓誌、七品宮人墓誌、本貫・姓氏すら不詳。
11.九品宮人墓誌3例、史料的価値皆無の具体例。
12.宮人墓誌5例、ほとんど同内容、墓誌の史料として利用する際の要注意例。
13.宮人墓誌3例、墓葬地の比定、衛星写真の活用法。
14.宮人墓誌に刻された則天新字、唐誌の宝庫「千唐誌斎」。
15.同上、則天武后期の宮人墓誌、厳格に新字を使用。
16.則天武后期と中宗復位後の宮人墓誌の字体の明確な違い。
17.中宗期の宮人墓誌11例、なぜこの時期に宮人墓誌が多いのか。
18.玄宗期の宮人墓誌10例、宮人墓誌はこれ以後は激減する、その理由はいかに。
19.強制出家させられた宮人墓誌、同一地点での新出7例。
20.太宗昭陵陪葬区で新出の高級宮人墓誌3例。約100例の宮人墓誌の総合的分析。
21.北周、隋、唐代の胡姓墓誌3例、胡姓用のマニュアルの存在。
22.唐代胡姓墓誌3例、マニュアルに機械的に依拠して制作。
23.同上2例、[参考文献]姚薇元『北朝胡姓考』。
24.偽刻墓誌、改竄墓誌、偽刻や改竄がなされる理由とは。
25.著名な書法家に仮託した墓誌2例。
26.同上2例、顔真卿の書と称する怪しげな塔銘(僧侶の墓誌)。
27.偽刻墓誌2例、偽刻の見分け方。
28.偽刻墓誌に依拠した偽刻墓誌、偽刻がいかに多いかを示唆。
29.著名な唐人の孫と称する偽刻墓誌。
30.墓誌記述の史料的価値、当人に不都合な事実は決して記さない、墓誌銘の史料としての決定的な限界。
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