コード
TD11-01
系列
史学専攻(修士課程)
授業科目
東洋古代史特講Ⅰ
副題
副専攻
担当者
佐竹 靖彦
単位
4
期・曜時
通年 火2
対象学年
学部3・4年生も可
特記事項
授業概要
史記項羽本紀を読む。当時の現代史としての楚(項羽)と漢(劉邦)との抗争が、漢を正統とする立場から巧妙に書き替えられていることは、拙著『劉邦』で明らかにした。この歴史の書き替えを復元するためのきっかけとして、いわゆる少数民族問題と、項羽の家族をめぐる問題を中心として、史記を熟読したい。
課題・評価
前期末に試験。さらに平素の努力を評価する。
テキスト
中華書局本の史記として小竹文夫・武夫訳の史記それぞれの項羽本紀をコピーして使用。
参考文献
司馬遼太郎『項羽と劉邦』(新潮文庫)。永田英正『項羽』(PHP文庫)。佐竹靖彦『劉邦』(中央公論新社)。
受講生への要望
ごく普通に問題を考えて、質問してほしい。
授業計画
漢の王朝を創始してその初代皇帝となった劉邦について、通説は二人の同母の兄と一人の異母弟がいたと考えている。しかし、史記を普通に読めば、劉邦は皇帝になったあと、すでに亡くなっていた長兄の子と次兄に対していじめに近い酷薄な処置をとる一方、弟に対しては広大な領地を与え厚遇している。これは実際には、劉邦の二人の兄は異母兄であり、弟は同母弟であったことを示しており、この点については、他にも証拠がある。これは劉邦を引き継いだ漢王朝が劉邦が後妻の息子であることを隠すために行った歴史の偽造の一例である。逆に、項羽については、その残虐性とまぬけぶりを強調するかたちで歴史は書き替えられた。今回の授業では、項羽が秦王朝を倒した最大の功労者であったという客観的事実を出発点として、項羽集団の権力基盤、権力構造を明らかにしたい。少数民族問題と項羽の家族の問題は新しい分析の糸口になるはずである。今年度の授業では、鴻門の会以降の事態の展開に重点を置いてこの問題を追求したい。
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