コード
HD72-01
系列
系列:キリスト教学
授業科目
キリスト教学演習Ⅱ
副題
(西洋中世哲学文献演習(トマス・アクィナス講読))
副専攻
H1
担当者
加藤 和哉
単位
4
期・曜時
通年 火3
対象学年
2・3・4年
特記事項
授業概要
キリスト教の神学が学問として成立した13世紀の代表的著作家であるトマス・アクィナスの著作を研究します。キリストの教えを、理性によってできる限り探究し、単に信仰の言葉によってではなく、誰にでも理解できる学問の言葉で解明しようとする試みを学びます(昨年まで「キリスト教学演習Ⅲ」として開講されていたものです)。
課題・評価
分担したテクスト箇所についての発表と研究レポート(年度末)によって評価します。
テキスト
トマス・アクィナス『神学大全』第9冊(第II-I部第1-21問題)(高田三郎・村上武子訳)創文社 1996
Thomas Aauinas, Summa Theologiae, Volume 16 (1a2ae. 1-5), Purpose and Happiness, edited by Thomas Gilby, CUP, 2006.(ラテン語・英語対訳)
参考文献
稲垣良典『トマス・アクィナス』講談社学術文庫 1999
受講生への要望
テクストは翻訳を基本としますが、随時原文も参照しますので、ラテン語を学んでいるか、学ぶ意欲のある人を望みます。ラテン語の知識のない人、不十分な人は、「ラテン語Ⅰ」を履修してください。
授業計画
昨年度に引き続き、トマスの『神学大全』の第Ⅱ部を読みます。箇所は、第Ⅱ部のⅠ、第5問(至福はいかにして獲得されるか)です。5年間をかけて、第1問から読んできた「至福」(キリスト教的幸福概念)についての考察も、これが最後で、いよいよクライマックスを迎えます。
中世の大学の神学教育の入門書として書かれた『神学大全』の第Ⅱ部は、「神に似せて造られた」(旧約聖書『創世記』)とされる人間に焦点を合わせ、人間の幸福、行為の構造、徳や習慣、罪、法、恩寵などの諸問題を扱っており、高度に抽象的な神学論を含む第Ⅰ部とは異なり、初めてトマスの思索に触れる人にも比較的読みやすい箇所です。
アリストテレスなどの古代の倫理学を踏まえつつ、アウグスティヌスをはじめとしたキリスト教の思索も整理、統合したもので、単に西洋中世の倫理思想の第一級の著作であるのみならず、古代中世の西洋倫理学の集大成といえるものです。
授業は、各人にテクストを分担して、担当してもらいます。担当者がテクストを読み、内容を整理し提示し、それに基づいて、参加者全員で考え、討論します。
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