2007 syllabus

コード	CB82-01
系列	系列：日本文学
授業科目	児童文学研究Ⅰ
副題	（子どもの＜成長＞は、どう描かれてきたか）
副専攻	C1・A2

担当者	藤本　恵
単位	2
期・曜時	前期　木2
対象学年	2･3･4年
特記事項

授業概要

　「児童文学」に対しては一般に、やさしい、かわいい、良心的…といったソフトなイメージと、「読めば分かる」という油断がつきまとう。しかし、児童文学は、清廉潔白、人畜無害の文学ではなく、だからこそおもしろい。児童文学を批判的に読み、研究・分析するための基礎知識として、ジェンダーに関しても、ナショナリズムに関しても、危険な要素をはらみながら存在してきた近現代の児童文学史を学ぶ。

課題・評価

　授業への取り組み(出席、提出物等）と、学期末に行う試験によって行う。

テキスト

　特に指定しないが、前時までに示した作品については通読しておくこと。

参考文献

　授業時に、資料としてプリントを配布する。また、必要に応じて紹介する。

受講生への要望

　児童文字が好きだから、積極的に関わりたい、プロの読者（知識をふまえて分析的に読み、適切な批判のできる読者）でありたい、と思う学生の参加を期待します。

授業計画

①明治の革命―＜児童＞の発見―
　　学制による＜児童＞の出現と子ども向け読物の誕生
②巌谷小波『こがね丸』と若松賤子『小公子』
　　以後の児童文学の流れを作るベストセラーの登場
③大正時代の社会現象としての童話・童謡ブーム
　　母恋い童話・童謡の流行と、その問題点
④少年少女小説の系譜
　　少年少女を夢中にさせた読物の変遷
⑤第二次大戦後の児童文学
　　長編児童文学作品の出現

　講義においては、各時代の社会状況や児童文学批評を押さえながら、具体的な作品を紹介し、読み深めていく。その際、作品分析の手法も示し、受講生それぞれの読む力を上げることを目指したい。
　また、今年度は、児童文学研究Ⅱ（後期）の授業内容とつなげるために、子どもの＜成長＞の描き方に関心を向けつつ、児童文学史が学べるようにするつもりである。

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