授業概要 |
ロシアはわれわれ日本人がよく馴染んでいる西洋文化や東洋の文化ともことなる独自な文化を育んできた。 ドストエフスキーやトルストイに見られる深い精神性を体現した文学、近現代演劇の大きく転換したスタニスラフスキーやメイエルホリドの演劇、チャイコフスキーやラフマニノフ、ストラヴィンスキーなど辺境の力をまざまざと見せつけた音楽、エイゼンシテインやヴェルトフによる果敢な映像言語の探求など…… ロシアはいったいどのような独自な文化を生み出してきたのか、またいかなる歴史的変遷をたどってきたかをさまざまな文化を参照しながら概観する。 |
課題・評価 |
少なくとも年2回レポートの提出。 時に応じて小テストを行うことがある。 |
テキスト |
テーマに応じてその都度プリントを配布する。 |
参考文献 |
その都度授業で紹介する。 |
受講生への要望 |
ロシアに関する予備知識は必要ない。何よりも異文化に対する旺盛な好奇心と、積極的な姿勢があればよい。 毎回出席カードの裏に授業にたいするコメントを書いてもらう。 |
|
|
授業計画 |
2004年はまず前期において、ロシア文化を理解する上で欠くことができないロシア史を通覧する。ただし、講義による通史というやり方を避け、今回は映画を通してロシア史を概観する方法を採ってみたい。 たとえばタルコフスキーの映画を参照しながら、15世紀のロシアの社会、ロシア正教やイコンの問題に光を当て、エイゼンシテインの映画を参考に、ロシアの為政者、政治権力の問題を探ってみるといった授業になる。 取り上げる映画としては、タルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』、エイゼンシテイン『アレクサンドル・ネフスキー』『イワン雷帝』『戦艦ポチョムキン』『十月』、デビット・リーン『ドクトル・ジバゴ』、セルゲイ・ボンダルチューク『戦争と平和』などを予定している。
後期には先のロシア史の知識を踏まえて、ロシアの文学と文化について概観する。 取り上げるおもなテーマは以下の通り。 1.ロシア文学の悲劇性 2.悲劇を吹き飛ばす「哄笑する文学」 3.チェーホフとモスクワ芸術座 4.メイエルホリドとアヴァンギャルド芸術 5.辺境で花咲くロシア・バレエ 6.ニジンスキーと「ロシア・バレエ団」 7.抒情とロシア音楽 8.映画における革新:モンタージュ言語の探求 9.人間の眼を越える映像:ヴェルトフの映画 (これらのテーマはあくまでも目安で、授業の進行に応じて変更されることがあります)
|
|
|