授業概要 |
連歌から俳諧への史的展開を講義します。連歌は中世を代表する文芸、俳諧は近世を代表する文芸です。この両者は密接な関わりを持つと同時に、中世文学と近世文学の特徴を代表するものと言ってよい。この講義ではまず、連歌とはいかなるものかを知ってもらい、それがどのように俳諧を準備したかを講じます。 |
課題・評価 |
前期、後期ともに原稿用紙5枚程度のレポートを提出してもらい、評価します。 |
テキスト |
前期は廣木一人編『連歌作品集』(新典社)、後期はプリント。 |
参考文献 |
『俳文学大辞典』(角川書店)、伊地知鉄男『連歌の世界』(吉川弘文館)、鈴木勝忠『俳諧史要』 |
受講生への要望 |
連歌・俳諧は特殊な文芸です。概説書を読んだだけではなかなかどのようなしくみの文芸かが分かりにくい。少なくともはじめの何回かは必ず出席してください。 |
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授業計画 |
前期は1、2回、連歌とはどのような文芸かを概説した後、室町中期の具体的な連歌作品、「熊野法楽千句第一百韻」を講読します。 後期は、まず、「俳諧」についての一般的な理解を振り返ります。その後、「俳諧」の語義の確認から始めて、『万葉集』の無心所着歌、『古今和歌集』の俳諧歌がどのようなものかを見、連歌において俳諧の出現をいつごろから認め得るかを検証していきます。そのために連歌の歴史を見ても行きます。 次いで、当時の連歌論等の中で俳諧がどのように位置づけられていたか見、室町時代中後期に現れた、俳諧の祖と呼ばれる守武や宗鑑の作品を、ほぼ同時代の連歌師、宗祇や宗長などと関わらせながら講じます。 最終的には、近世初期の俳諧師、貞徳(貞門)・宗因(談林)・芭蕉(蕉門)において俳諧が連歌との比較の中でどう捉えられていたか、彼らが文学というものをどのように考え、それを俳諧という文芸に関わらせていったか、を見てまとめにしたいと思います。 連歌は古典文学です。俳諧はそれに対するアンチテーゼであり、自分たちが生きている時代を追求しました。芭蕉は古典が持つような変わらざるものと日々変わっていくものの両者を文学に留めようしました。文学の持つ二面性が芭蕉の俳諧に至って成就したとも言えます。そのような文学史の根幹に関わることを問題意識として持ちながら講義したいと思います。
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