授業概要 |
現代は、男はこんなふうに生きるべき、とか、女はこんなことをしてはいけない、といった決まりごとがなくなった時代だろうか。 この授業では、私たちの人格や生き方を規定する〈性〉について、ふだん〈自然〉だと思って見過ごしていることが本当に〈自然〉なのか、〈自然なこと〉と納得して考えもせずに手放しているのは何なのかを、近代文学の作品を通して考察する。私たちを取り巻くメディア、恋愛、おしゃれなど、身近な問題も取り上げたい。 |
課題・評価 |
授業への取り組み(提出物など)、前期末・後期末レポート(前期分は後期第一回目の授業時に提出予定)によって総合的に評価する。 |
テキスト |
川上弘美「蛇を踏む」文春文庫 田山花袋「蒲団・一兵卒」岩波文庫 他は主としてプリント。 |
参考文献 |
授業中に指示する。 |
受講生への要望 |
特に前期は、ワークシートを用いるなどにより、受講者自身の読解を深めることを目標としているので、テキストは必ず全員が読むことになる。 |
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授業計画 |
前期は、幻想性の強い小説をいくつか取り上げ、一般的な小説の分析方法をいくつか学びながら、さらに、ジェンダー規範が異界の形成にどのように寄与しているか、検証していく。後期は、物語内の時代、あるいは作品が発表された時代の資料を調べることによって作品の読み方がどのように変わるのかを具体的に見ながら、ジェンダー規範の歴史・社会的形成過程を追う。 以下のようなテーマと作品を予定しているが、受講者の顔ぶれや、進度によって、多少変更する可能性がある。 前期 1.日本近代文学と〈ジェンダー規範〉 2.夢野久作「瓶詰めの地獄」 3.堀辰雄「手のつけられない子供」 4.川端康成「水月」 5.川上弘美「蛇を踏む」 後期 6.樋口一葉とは誰か 7.一葉がもてはやされる時代― 田山花袋「蒲団」のセクシュアリティ 8.女性作家の戦略―田村俊子ほか 9.異性愛と同性同士の関係
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